相続対策は誰のために何のためにするのものなのか? 相続対策が必要ではないと考えている方たちへ
今まで5000件以上の相続・終活のご相談にのる中で
『相続対策』をしましょう!というと拒絶反応をおこす方が時々いらっしゃいます。
相続関係のセミナーに来ている、あるいは配偶者につれられて筆者の事務所に相談に来ているにも拘らずです。
そういう方の理由は様々ですが、主に以下のような理由が多いように感じています。
□まだ死なないから準備は今必要ない
□子に言われると財産を狙われている、あるいは死ねといわれているようで気分が悪い
□うちは大した財産がないから必要ない
□子らは仲が良く必要ない
□妻(夫・子)に無理やり連れてこられたが、自分は我が家には関係ないと思っている
この5つに該当する方が多いように感じています。
では、この5つに該当する方は相続対策をしなくていいのでしょうか?
一つずつ検証していきましょう。
□まだ死なないから準備は今必要ない
➡では、いつからなら対策できるのでしょう?
いつ、必要になるのでしょう?
この質問をすると黙ってしまう方が多いです。
人の死亡率は100%、いつ亡くなるかは誰にもわかりません。
備えあれば憂いなし。ましてやコロナ禍の現在、そのときは突然やってくるかもしれませんね。
□子に言われると財産を狙われている、あるいは死ねといわれているようで気分が悪い
➡子がどういう気持ちでそのことを切り出したのかをただ拒絶するだけではなく、親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。悪意を持ってそんなことを言い出す子に育てたのでなければ、心から心配してのことかもしれません。
それに、相続対策は死ぬからするものではありません。
筆者は40歳の時に公正証書遺言の作成をしていますが、死ぬから遺言を書いたわけではありません。
□うちは大した財産がないから必要ない
➡大した財産がない場合は相続税の対策はしなくていいでしょう。
但し、相続で揉めているのは5千万円以下が75%というデータが出ています。
(令和2年の司法統計によると令和2年(2020年)の遺産分割調停事件の新受件数は、1万2760件)
大した財産がない方ほど揉めているのが現状です。
筆者が過去に相談の乗った案件で、200万の母が遺した定期預金を6人のきょうだいで争ったというものがあります。
子らが揉めないための対策は本当に必要ありませんか?
□子らは仲が良く必要ない
➡確かに今は仲良く揉めそうにないと感じるかもしれません。
ただ、相続が発生した時にもそうだとは誰にもわかりません。
経済状況や健康状態に問題がでているかもしれません。
特に子らの配偶者や相続人ではないものが介入したケースで争族に発展していることが多いように感じます。
□妻(夫・子)に無理やり連れてこられたが、自分は我が家には関係ないと思っている
➡このケースでは妻や子に無理やり連れてこられたと主張する男性が多いと感じます。
自分の知らない所で話が進んでいることに拒絶反応をおこされているようですが、
このケースもよく家族で話し合い、我が家の方針を擦り合わせ、意思の疎通をしっかりと図って欲しいと思います。
いかがでしたか?
該当する、あるいは思い当たる項目はあったでしょうか?
それでも、相続対策は必要ないと考えるのであれば、今はまだ相続対策について考える時期
ではないのかもしれません。
そもそも相続対策は『誰のために何のために』するのかをよくよく考えて、本当に必要ではないと思うのであれば、しないという選択もありでしょう。
一番、やってはいけないのは、考えることを放棄して臭いものに蓋をしたまま放置することです。
皆さんが今まで家族のために一生懸命に働き家族と自分が幸せになるために生きてきた
人生そのものをただ、面倒くさいから、あるいは今考えたくないからという安易な理由で相続対策することを放棄しないで欲しいと思います。
大切な家族を守ることができるのは生きているうちも亡くなってからも皆さん自身だと
いうことを忘れないでいてください。
皆さんのご家族が皆さん亡きあとも笑顔で仲良く暮らし続けていっていただきたいです。