生前整理がいいか、遺品整理でいいか・・

皆さんは、お片づけは得意ですか?もしくは好きですか?
筆者は服を一枚買うと一枚処分する、ということを癖づけています。
それは、我が家は夫婦だけの世帯で子がいないため、筆者自身か夫が亡くなるとどちらかが『おひとり様』となり、死後の整理を他人に依頼する必要があるので、なるべく物は増やさず遺品整理が楽になるようにと考えてのことです。
 今回は『生前整理がいいか、遺品整理でいいか・・』について事例などを用いて皆さんの参考になるよう説明していきたいと思います。

『生前整理』
 簡単に説明すると、生前に自分自身の資産や身の回りの物を整理し、見直すという意味です。
もう少し詳しく説明しましょう。
例えば、長く着てない洋服は自分で捨てる、あるいはリサイクルショップに持っていく。
和服はまだ着るので今は処分しないが、自分の死後は茶道を習っている孫に引き継いで欲しいなど、エンディングノートに書いておくか口頭で伝えておくなどし、遺された家族が遺品を前に捨てていいか誰かにあげたかったのかを悩まずに済むよう道筋をつけておくことが生前整理です。

『遺品整理』
 親などの身内が亡くなった後、そこに遺された資産や身の回りのものを家族が整理し処分することです。
このケースが問題になることが多いので、事例と共に見ていきましょう。

事例1
ご相談者Aさんは2年前に同居をして介護をしてきた姑を亡くしました。
姑からは真珠の指輪とエメラルドの指輪は介護をしてきた嫁であるAさんにと口頭で伝えられていたそうです。
ところが、夫のきょうだいである義妹が遺品整理をしているとやってきて
「お母さんの持ち物は全て娘の私がもらうので、勝手に捨てたりあなたのものにしたりしないで。」といったまま、2年間放置状態。
捨てることも片づけることもできなくなり、金目のものと真珠の指輪とエメラルドの指輪は持って帰ってしまったというのです。
Aさんとしては、金目のものを持っていくなら遺品の整理もして欲しかったそうですが、義妹と揉めたくなくて悶々としているらしく、こんなことなら生前整理をしておいて欲しかったと嘆いていました。
このようなケースではAさんが言うように生前整理をしておくか、エンディングノートなどに形見分けや遺品整理の指示がされていれば遺された家族はそれに従ってやりやすかったのではないかと思います。

事例2
母が亡くなり、遺産分割も揉めることなく仲良く終わろうとしていた姉妹が、実家の遺品を巡って大喧嘩となったケースです。
姉は県外に住んでいて、妹は実家の近くで母の介護などをしていました。
誰も住まなくなった実家をいずれは売却し、姉妹で仲良く分けようと決まったのですが、
姉が「売却するなら家の中のものは全て捨てないとね!」といった一言が妹の逆鱗に触れました。
妹からしてみると、母の介護をしている時から母から色んな思い出話を聞いていて、どれだけ大切にしてきたかが分かっていたので、『捨てる』の一言が許せない!というわけです。
理屈ではいずれ遺品は処分しないと実家が売却できないことは理解しているものの、感情がついていかず姉と大喧嘩してしまったとのこと。
筆者に話すことで、気持ちが落ち着いたのか、遺族の気持ちをきちんと汲み取り遺品を大切に扱ってくれる遺品整理業者を紹介して欲しいとなりましたが、やはり遺品整理は遺された家族にとっては負担が多いと感じた事例です。

これら2例だけでは『生前整理』がいいか『遺品整理』がいいか判断することはできないかもしれませんが、遺品整理の方が今まで受けた相談では、遺された家族の負担が多いのかなという肌感です。
 

では、生前整理はどうやればいいのかという話ですが、今回は親にしてもらう場合について説明しましょう。 

 子からの相談では、「親に生前整理をしてもらいたいが、なかなか進まなくて困っています。」という内容が増えてきています。
子から親に切り出すケースでは、配慮が必要だと思います。
例えば
「捨てる」ではなく、「必要な人に使ってもらわない?リサイクルしてもらわない?」など言い回しを変えてみることで物を大切にしてきた世代の親の気持ちが変わることがあります。
また、家に物が溢れていると、物につまずいてこけた拍子に骨折の危険性があることを理解してもらいましょう。
また、親一人に生前整理をしてもらうのではなく、思い出話をしながら一緒に手伝っていくことも大切ではないでしょうか?家族の思い出の写真は特に捨てられないものです。
ベスト10など選んで、それを1冊のアルバムにまとめてみることで気持ちの整理がつくこともあります。

 

最後に生前整理にしても遺品整理にしても、きちんと査定をして見積もりを出し、家族の思い出の品をただ捨てるのではなく大切に取り扱ってくれて、使えるものがあればリユースできる仕組みを持っている業者選びも大切ですね。

さて、皆さんは『生前整理』と『遺品整理』どちらがいいと思いましたか?
自分一人で悩まず家族や業者などに相談をしてみるところからまずは、始めてみませんか?

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一橋香織

Kaori Hitotsubashi

笑顔相続コンサルティング株式会社 代表取締役 笑顔相続サロン®本部 代表
全国相続診断士会 会長
一般社団法人全国遺言実務サポート協会 代表理事
一般社団法人アクセス相続センター 理事
一般社団法人終活カウンセラー協会 顧問

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東京都足立区千住東2-1-6 プリモ北千住
TEL : 03-6679-6276
得意分野:保険・FP|相続コンサル

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